小児 白血病。 白血病〈小児〉 治療:[国立がん研究センター 小児がん情報サービス]

小児白血病は完治するのか?

小児 白血病

急性白血病は遺伝子変異により増殖能を獲得するとともに、分化能を失った幼若造血細胞(芽球)が自律的に増殖する造血器の悪性腫瘍疾患である。 FAB分類では骨髄または末梢血標本の染色所見および表面抗原検査により細分類されるが、WHO分類(第4版)ではこれらに加えてAMLに特異的な染色体異常・遺伝子変異の有無、抗がん剤・放射線治療歴の有無等に基づいて細分類される。 急性骨髄性白血病(AML)のFAB分類 表2. 急性骨髄性白血病(AML)のWHO分類(第4版) 病因 Pathogenesis AMLの症状には、正常造血の抑制に基づくものと芽球の浸潤によるものとがある 2。 正常造血の抑制では、貧血による全身倦怠感や動悸・息切れ、血小板減少による出血症状、正常白血球減少に伴う感染症状がある。 急性前骨髄球性白血病(Acute promyelocytic leukemia: APL、FAB分類のM3)では播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併しやすく、出血症状が生じやすい。 AML芽球はリンパ節、中枢神経系、肝臓、脾臓などに浸潤することがあり、それぞれリンパ節腫脹、頭痛や嘔気・嘔吐、肝脾腫などを認めることがある。 特に単球系の形質を持つAML(FAB分類のM4やM5)では、歯肉腫脹や皮膚浸潤をしばしば認める。 また、腫瘤形成するAMLもあり、骨髄肉腫/顆粒球肉腫と呼ばれる。 白血病においては特異的な症状で発見されることは少なく、不特定の症状が長引くことが疾患を疑う契機になる。 診断 Diagnosis AMLの治療の主体は多剤併用化学療法であり、その中心を担う薬剤はシタラビン Ara-C とアントラサイクリン系抗がん剤である 2。 これらの2剤を中心に用いた寛解導入療法と大量Ara-C療法を含む強化療法を計4~5コース程度行うのが標準的である。 小児AMLで用いられているアントラサイクリンとしては、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンなどがあるが、その優劣については結論が出ていない。 その他、Ara-Cとアントラサイクリン以外の第3の薬剤を併用することの意義も必ずしも明確ではないが、小児AMLにおいてはエトポシドなどが併用されることが多い。 AMLでは前記多剤併用化学療法に加えて、一部の症例においては同種造血幹細胞移植が行われる。 造血幹細胞移植の適応は、予後因子に基づいたリスク層別化によって決定される。 APLでは、AMLに対する通常の多剤併用化学療法に加えて、全トランスレチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が併用される。 更に、APLでは強化療法後にATRAを用いた維持療法も行われる。 APLの再発・難治例に対しては、ATRAと同様に分化誘導効果のある三酸化ヒ酸(ATO)が用いられることもある。 ダウン症に発症したAMLでは、治療合併症が多い一方で、Ara-Cなどの抗がん剤に対する治療反応性が良好であることが知られており、通常の小児AMLよりも治療強度を減じた多剤併用化学療法が行われる。 予後 1. Swerdlow SH, et al. WHO Classification of Tumors of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. IARC: Lyon 2008 2. Cooper TM, et al. Chapter 20. Acute Myeloid Leukemia, Myeloproliferative and Myelodysplastic Disorders. Principles and Practices of Pediatric Oncology. Pizzo PA. 6th ed. 2011, 566-610. Horibe K, Saito AM, Takimoto T, et al. Incidence and survival rates of hematological malignancies in Japanese children and adolescents 2006-2010 : based on registry data from the Japanese Society of Pediatric Hematology. Int J Hematol 2013;98 1 :74—88 4. Tsukimoto I, Tawa A, Horibe K, et al. Risk-stratified therapy and the intensive use of cytarabine improves the outcome in childhood acute myeloid leukemia: the AML99 trial from the Japanese Childhood AML Cooperative Study Group. J Clin Oncol 2009;27 24 :4007-4013 5. Kaspers GJL, Zimmermann M, Reinhardt D, et al. Improved outcome in pediatric relapsed acute myeloid leukemia: results of a randomized trial on liposomal daunorubicin by the International BFM Study Group. J Clin Oncol 2013;31 5 :599-607 6. Imaizumi M, Tawa A, Hanada R, et al. Prospective study of a therapeutic regimen with all-trans retinoic acid and anthracyclines in combination of cytarabine in children with acute promyelocytic leukaemia: the Japanese childhood acute myeloid leukaemia cooperative study. Br J Haematol 2010;152 1 :89-98 7. Kudo K, Kojima S, Tabuchi K, et al. Prospective study of a pirarubicin, intermediate-dose cytarabine, and etoposide regimen in children with Down syndrome and acute myeloid leukemia: the Japanese Childhood AML Cooperative Study Group. J Clin Oncol 2007;25 34 :5442-5447 8. Taga T, Saito AM, Kudo K, et al. Blood2012;120 9 :1810-1815 版 :バージョン1. 1 更新日 :2015年6月23日 文責 :日本小児血液・がん学会.

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小児の血液・リンパのがん

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寛解導入療法 急性リンパ性白血病の標準的な寛解導入療法では、プレドニゾロンまたはデキサメタゾン、ビンクリスチン、L-アスパラギナーゼ、アントラサイクリンの4種類の薬剤を、5週間前後ほどかけて投与します。 この方法で、体内で残存するがん細胞の量を一気に減らすことにより、寛解状態を目指します。 強化療法(地固め療法) 寛解導入療法によって症状が落ち着いた(寛解)場合でも、そのまま治療を終了すると再発する確率が高いことが知られています。 このため、さらに白血球細胞を減少させるために強化療法を行います。 強化療法では、寛解導入療法で用いた薬剤にほかの薬剤を組み合わせることが一般的です。 それらに加えて、中枢神経系への転移を予防するメトトレキサートを投与する場合もあります。 維持療法 寛解導入療法および強化療法によって白血球細胞が減少した場合でも、休眠状態で生き残った細胞が再び活性化して再発をきたすリスクはゼロではありません。 今日までの治療の歴史の中で、強化療法後の適切な治療に関する研究が重ねられてきました。 その結果として2020年1月現在、急性リンパ性白血病は一定期間の維持療法を行うことが推奨されています。 維持療法では、メルカプトプリンおよびメトトレキサートの内服による治療を長期間にわたり行うことを基本にしています。 また、リスク群によっては中枢神経への浸潤予防のため、メトトレキサートを含む薬剤の注射を行います。 治療期間について 寛解導入療法と強化療法は入院下で行い、合計8~12か月程度(うち寛解導入療法が5週間程度)の期間が必要です。 入院期間が長いように感じられるかもしれませんが、容体が落ち着いていれば、休日および休暇期間に一時退院や外泊が可能です。 また、維持療法は最低1年以上継続することが推奨されています。 1歳未満の白血病に対する治療 1歳未満の乳児は、MLL遺伝子再構成という遺伝子変異をきたしているパターンが多く、このタイプは難治例の病型とされます。 6か月未満かつ、プレドニゾロンによる治療効果が期待できないまたは白血球数が基準値以上の場合、同種造血細胞移植を検討します。 MLL遺伝子再構成が陰性の場合は、通常の小児急性リンパ性白血病の治療と同じ方法が適応されます。 寛解導入療法 基本的な治療の目的はにおける治療と同じで、まずは寛解導入療法によって、がん細胞の数を一気に減少させることを狙います。 急性骨髄性白血病の場合、基本的にはアントラサイクリンとシタラビンの組み合わせにエトポシドを併用する形で投与します。 後述する強化療法でも使用する薬剤の組み合わせは変わりません。 強化療法 急性骨髄性白血病でも、寛解導入療法によって得られた寛解状態を維持するため、複数回のコースに分けて強化療法を行います。 シタラビンとアントラサイクリンを中心にした治療薬を一定間隔ごとに投与して、白血球細胞のさらなる減少を目指します。 また、再発リスクの高い高リスク群の患者さんおよび一部の中間リスク群の患者さんには、造血細胞移植の適応を検討します。 急性前骨髄球性白血病(APL)の治療 急性前骨髄球性(APL)は、急性骨髄性白血病の中でも特殊なタイプです。 このタイプの白血病では、基本的な急性骨髄性白血病と治療法が異なります。 最大の特徴は、トレチノイン(ATRA、ビタミンAの一種)という分化誘導剤を長期的に内服することです。 このほかに、アントラサイクリンとシタラビンを併用した寛解導入療法および強化療法を行います。 海外では2020年1月現在、トレチノインと亜ヒ酸(ATO、三酸化ヒ素)を基本として、従来の抗がん剤の使用量を抑えた治療が行われつつあります。 ダウン症の子どもの白血病の治療 ダウン症の子どもは、白血病を発症するリスクが高いことが知られています。 ダウン症の急性骨髄性白血病は、そうでない方の急性骨髄性白血病とは異なる病型で治療反応性がよいといわれ、専用の治療プロトコルに基づいた治療を行います。 さらにダウン症の子どもは薬物代謝性が悪く、標準治療と同じ治療を行うと副作用や合併症が強く現れる危険性が高いため、その意味でも一般的な小児急性骨髄性白血病に比べて弱めの治療が行われることが特徴です。 治療中、治療後の日常生活の注意点 外出や帰宅はできる? 当院の場合、発熱や感染がなく、ご家族と本人の希望があれば、白血球数にかかわらず帰宅が可能です。 ただし、基本的に体の抵抗力が弱い状態ですので、あくまでご自宅で安静にしていただくことが条件です。 人が多く集まる施設などへの外出は原則的に控えていただきます。 学校への復帰(復籍)はいつから可能? 復籍のタイミングは、のタイプによって異なります。 の場合は、寛解導入療法および強化療法が終了し、退院して維持療法に入った段階で復籍していただけます。 一方での場合は、維持療法を行わないため、基本的には本退院する段階で復籍していただけます。 家族が気を付けることは? ご本人が帰宅する前日までに自宅を掃除していただき、お家の中を清潔に保ってください。 特に意識的に掃除をしていただきたい場所は、カビや菌がたまりがちなエアコンです。 食事内容にも一定の制限があります。 当院では、生もの(お寿司、お刺身、生肉、生卵など)はなるべく控えていただくようにお伝えしています。 ただし、ご家族の誕生日やお祝い事でお寿司を食べる機会があるなど、特別な事情がある場合は許可をすることもあります。 また、ごきょうだいに風邪をひいている方や感染症にかかっている方がいる場合は、外泊はご遠慮いただきます。 患者さん本人が感染症にかかるリスクがあることに加えて、患者さんが外泊から病棟に帰ってきた際に、その感染源を院内に持ち込むリスクがあるためです。 治療法の進歩に伴い、近年におけるの生存率は向上してきているものの、まだ全ての患者さんとそのご家族に納得していただける数字ではないと感じています。 当院はこれからも治療法の研究や診療に取り組み、1人でも多くの小児白血病患者さんを救うために努力を続けていきます。 東京都立小児総合医療センター• アレルギー科 血液内科 心療内科 精神科 神経内科 脳神経外科 腎臓内科 心臓血管外科 小児科 小児外科 整形外科 形成外科 皮膚科 泌尿器科 眼科 耳鼻咽喉科 リハビリテーション科 放射線科 矯正歯科 小児歯科 麻酔科 呼吸器内科 循環器内科 消化器内科• 東京都府中市武蔵台2丁目8-29• 042-300-5111.

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小児急性白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病)の治療法と生活の注意点

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急性白血病は遺伝子変異により増殖能を獲得するとともに、分化能を失った幼若造血細胞(芽球)が自律的に増殖する造血器の悪性腫瘍疾患である。 FAB分類では骨髄または末梢血標本の染色所見および表面抗原検査により細分類されるが、WHO分類(第4版)ではこれらに加えてAMLに特異的な染色体異常・遺伝子変異の有無、抗がん剤・放射線治療歴の有無等に基づいて細分類される。 急性骨髄性白血病(AML)のFAB分類 表2. 急性骨髄性白血病(AML)のWHO分類(第4版) 病因 Pathogenesis AMLの症状には、正常造血の抑制に基づくものと芽球の浸潤によるものとがある 2。 正常造血の抑制では、貧血による全身倦怠感や動悸・息切れ、血小板減少による出血症状、正常白血球減少に伴う感染症状がある。 急性前骨髄球性白血病(Acute promyelocytic leukemia: APL、FAB分類のM3)では播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併しやすく、出血症状が生じやすい。 AML芽球はリンパ節、中枢神経系、肝臓、脾臓などに浸潤することがあり、それぞれリンパ節腫脹、頭痛や嘔気・嘔吐、肝脾腫などを認めることがある。 特に単球系の形質を持つAML(FAB分類のM4やM5)では、歯肉腫脹や皮膚浸潤をしばしば認める。 また、腫瘤形成するAMLもあり、骨髄肉腫/顆粒球肉腫と呼ばれる。 白血病においては特異的な症状で発見されることは少なく、不特定の症状が長引くことが疾患を疑う契機になる。 診断 Diagnosis AMLの治療の主体は多剤併用化学療法であり、その中心を担う薬剤はシタラビン Ara-C とアントラサイクリン系抗がん剤である 2。 これらの2剤を中心に用いた寛解導入療法と大量Ara-C療法を含む強化療法を計4~5コース程度行うのが標準的である。 小児AMLで用いられているアントラサイクリンとしては、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンなどがあるが、その優劣については結論が出ていない。 その他、Ara-Cとアントラサイクリン以外の第3の薬剤を併用することの意義も必ずしも明確ではないが、小児AMLにおいてはエトポシドなどが併用されることが多い。 AMLでは前記多剤併用化学療法に加えて、一部の症例においては同種造血幹細胞移植が行われる。 造血幹細胞移植の適応は、予後因子に基づいたリスク層別化によって決定される。 APLでは、AMLに対する通常の多剤併用化学療法に加えて、全トランスレチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法が併用される。 更に、APLでは強化療法後にATRAを用いた維持療法も行われる。 APLの再発・難治例に対しては、ATRAと同様に分化誘導効果のある三酸化ヒ酸(ATO)が用いられることもある。 ダウン症に発症したAMLでは、治療合併症が多い一方で、Ara-Cなどの抗がん剤に対する治療反応性が良好であることが知られており、通常の小児AMLよりも治療強度を減じた多剤併用化学療法が行われる。 予後 1. Swerdlow SH, et al. WHO Classification of Tumors of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. IARC: Lyon 2008 2. Cooper TM, et al. Chapter 20. Acute Myeloid Leukemia, Myeloproliferative and Myelodysplastic Disorders. Principles and Practices of Pediatric Oncology. Pizzo PA. 6th ed. 2011, 566-610. Horibe K, Saito AM, Takimoto T, et al. Incidence and survival rates of hematological malignancies in Japanese children and adolescents 2006-2010 : based on registry data from the Japanese Society of Pediatric Hematology. Int J Hematol 2013;98 1 :74—88 4. Tsukimoto I, Tawa A, Horibe K, et al. Risk-stratified therapy and the intensive use of cytarabine improves the outcome in childhood acute myeloid leukemia: the AML99 trial from the Japanese Childhood AML Cooperative Study Group. J Clin Oncol 2009;27 24 :4007-4013 5. Kaspers GJL, Zimmermann M, Reinhardt D, et al. Improved outcome in pediatric relapsed acute myeloid leukemia: results of a randomized trial on liposomal daunorubicin by the International BFM Study Group. J Clin Oncol 2013;31 5 :599-607 6. Imaizumi M, Tawa A, Hanada R, et al. Prospective study of a therapeutic regimen with all-trans retinoic acid and anthracyclines in combination of cytarabine in children with acute promyelocytic leukaemia: the Japanese childhood acute myeloid leukaemia cooperative study. Br J Haematol 2010;152 1 :89-98 7. Kudo K, Kojima S, Tabuchi K, et al. Prospective study of a pirarubicin, intermediate-dose cytarabine, and etoposide regimen in children with Down syndrome and acute myeloid leukemia: the Japanese Childhood AML Cooperative Study Group. J Clin Oncol 2007;25 34 :5442-5447 8. Taga T, Saito AM, Kudo K, et al. Blood2012;120 9 :1810-1815 版 :バージョン1. 1 更新日 :2015年6月23日 文責 :日本小児血液・がん学会.

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