モナリザ 目 文字。 モナリザ「モデルは男性」と伊研究チーム、ダ・ヴィンチの愛人? 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

モナ・リザの瞳に隠された文字、モデルの正体を告げる暗号か

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その前で,日に何千回とシャッターを切る音が聞かれるだろう。 もちろん彼女はあのえもいわれぬ表情を浮かべたまま,後世の人間たちの狂態を静かに眺めているばかりである。 分厚いガラス窓を通してしか接することしかできないその人物は, 〈モナ・リザ》とも(ジョコンダ〉とも呼ばれている彼女,レオナルド・ダ・ヴインチの描いたあの女性像にほかならない (上図)。 そのイメージは私的な写真という媒体を通じて,まるで細胞が無限に増殖していくように,ルーヴル美術館から世界中に拡散していく。 西洋絵画の代名詞にまでなったこの有名な作品を,どう理解しているのであろうか。 その絵画的な質の高さに感嘆しているのか。 それとも「 神秘的な微笑み」を浮かべる, 謎めいた女性像に魅惑されているのか。 もしかしたら,名作と言われて無意識に納得してはいまいか。 おそらく,同じ作品でありながら, 個人によってその捉え方や感じ方はかなり異なっていよう。 私たちにとって,「 モナ・リザ」の微笑み方は決して一様ではない。 ジョルジョ・ヴァザーリからテオフイル・ゴーティエ,ウォルター・ペイターまで,ジグムントフロイト,ハインリッヒ・ヴエルフリンからアンドレ・マルローまで,数世紀にわたり多くの作家や学者たちが,この絵についてさまぎまな言葉を紡いできた。 その魅力や素晴らしさについて語り,あるいは戸惑いや苛立ちを表明し,さらにはその「謎」を解明しようと努めてきた。 同様に,それぞれの時代の画家たちもまた, ー模写と影響ー レオナルドが終生手放さなかった〈モナ・リザ〉は,その死後,弟子メルツイの手にわたり,最後に巨匠晩年の庇護老 フランソワ1世が買い上げて,フランス王家の所蔵品となった。 17世紀末にはルイ14世によってフォンテーヌブロー宮からヴェルサイユ宮に移され, フランス革命後の1792年には,やがて「中央美術館」となるルーヴル宮に場所を変える。 その後は,テュイルリー宮のナポレオン・ボナパルトの寝室を飾りもしたこの絵は, 1804年にルーヴルのナポレオン美術館(当時)に収まり,その後はいくつかの例外的な期間を除けば,基本的にそこから動くことはなかった。 17世紀前半に幸運にもその恩恵に浴した,カッシアーノ・デル・ポッツオが伝えるところによると,大使としてイギリスからやってきた バッキンガム公爵は,この絵を何とか入手したいと望んだが,傑作の国外流失を惜しむ延臣 ていしん・朝廷に仕える臣下 たちの介入で果たせなかったという。 おそらく,を見てそれを手に入れたいと思った者は,バッキンガム公爵だけではなかったはずである。 そして,原作が無理ならせめて模写でもと思う人が,当然いたに違いない。 事実,1952年にルーヴル美術館で行なわれた展覧会「レオナルド・ダ・ヴインチ頒」では, その当時知られていた《モナ・リザ〉の模写が61点あげられており,とくに18世紀以前の需要が高かったことを物語っている。 ただし,模写の意義としては,もともと画家たちの技術的な修練という側面もあった。 《モナ・リザ〉への挑戦心に導かれまたその油彩技法を少しでも摂取しようとして,多くの画家たちが絵筆を握ることになった。 たとえば,ルーヴル美術館が所蔵する17世紀頃の模写は,かなり出来がよく,精巧である。 だが ,顔が原作より細めで若やいだ感じがあり, やはりオリジナルのもつ超然とした卓越性を表わしきれていない(上図左)。 もっとも,画面両端に柱がはっきりと見えるところは,作品の元の状態を教えてくれのだが。 カンペール美術館の《モナ・リザ》は,もう少し時代を遡るようだが, 明らかに口の左端をあげすぎており,肝心の微笑の表現に失敗している。 エビナルの美術館にある模写は,描写が平板であると同時に,顔に明暗をつけすぎの感があろう (上図右)。 シュトウツトガルトにある作は,エビナルのものと同系列と思われ,地理的位置からいってもその類似性は納得できるが,やはり顔にメリハリをだしすぎているし,本来正面を向いているはずのまなぎしが,斜めを見ている印象を与える( 下図左)。 ミュンへンにある17世紀のコピーは,若やいだ赤毛の女性という印象が強く,背後の暗く荒涼とした風景も,原作とはずいぶん適っている (下図右005)。 005 さらに,風土の反映かもしれないという意味では,オスロ国立美術館にある18世紀頃の作が興味深い。 白い肌に,冷たく青みがかった空の取り合わせは, 「北欧のモナ・リザ」とでも形容したくなる雰囲気が濃厚である(下図左)。 フランスから遠ぎかるにつれて,原作との齟齬が大きくなる傾向(特に風景描写の精度が落ちている)があるのは,おそらく遠隔地の場合, 模写からの模写もありえたことを想像させる。 いずれにせよ,〈モナ・リザ》という作品は,それを写しとる画家の個性や技術,地域や時代を映しだしてしまう,ある意味で恐ろしい鏡であった。 画家たちにとって〈モナ・リザ〉は,凡庸な才が遠く及ばない自然模倣の技術の所産ではあったが,同時に肖像画のポーズという形式面においては,それなりに摂取可能な優れた範例となっていた。 むろん,しばしば指摘されるように,北方のフランドル絵画では,すでにヤン・ファン・エイクらが真正面でも側面でもない,四分の三正面向きのポーズを開発していたので,レオナルドがそれにヒントをえた可能性はある。 原型としてのフランドル絵画からの影響の可能性は排除できないにせよ, 四分の三正面向き半身像の,最も洗練された優美な完成形態を提示したのがくモナ・リザ》であるという歴史的な意義もまた否定できないであろう。 実は, レオナルドの偉大な達成にいちはやく敏感に反応したと思われるのは,ラファエロである。 1504年頃に 制作された素描(上図右)は,女性半身像の向きとポーズ,円柱つきの膜壁があるロッジアか柱廊のような場所を背にしている点など,明らかに (モナ・リザ》そのものか,残存してはいないがその画稿を,ラファエロがこの時期に知っていたことを示している。 その意味では,〈モナ・リザ》の制作年代(少なくとも制作開始年代)を,第二次フェレンツェ時代におくひとつの根拠ともみなされよう。 さらに,フォンテーヌブロー派に関して興味深いのは,独特の宮廷裸体婦人像の成立に〈モナ・リザ》がかかわっている点である。 裸体のモナ・リザを表した素描(上図右)や同主題の油彩画(上図右)の存在は,レオナルド自身かその周辺の画家に, 着衣の〈モナ・リザ》とは異なる「 裸のモナ・リザ」の着想があったことを伝えている。 フランス以外の国でも,また17世紀以降も,くモナ・リザ〉をモデルとする肖像画は数多く描かれており,その影響力は大きい抑。 西洋の肖像画形式にひとつの決定的な表現を与えた〈モナ・リザ》は, 後世の画家にとっていわば鑑としての役割をもつことになったのである。 1804年以降,ルーヴル宮殿内の美術館で一般公開された〈モナ・リザ〉は, 誰でもが自由に目にしえる絵画となったのである。 それ以後,作品は広く世に知られるとともに,作品についてさまぎまな言説が書かれ後で触れるように複製画像も数多くでまわるようになる。 そのとき, 〈モナ・リザ〉に向けるまなざしに変化はあったのか。 基本的にヴァザーリのレオナルド伝の影響下にあり,驚異的な自然模倣というパラダイムの枠内にあった18世紀以前と比べると,19世紀において(モナ・リザ〉のイメージは大きく変わった。 端的にいえば, 生き生きと真に迫った肖像画から,謎めいた神秘的な女性像に変貌したのである。 神業のような技術を示す作品という評価に揺るぎはなかったが,別のレベルの解釈,ロマン主義以降の19世紀に特有の女性イメージが作品に張りついていく。 ただし,そうしたジョコンダ観とは異なる立場も存在した。 神秘思想家の ジョゼ ファン・ベラダンは,女性化された青年ともいうべき は,20世紀美術において,を女性から男性に変えてしまった最初の作例という栄誉をえるのである。 この点について,デュシャンは1961年のある批評家との対話のなかで,つぎのようにコメントしている。 「フロイトの考えはレオナルドの同性愛を証明することでした。 あの口ひげと山羊 やぎ ひげに関して興味深いのは,あなたが〈モナ・リザ〉を見るとき,彼女が男になることです。 それは男に変装した女ではなく,本当の男であり,それこそが私の発見でしたが,当時はよくわかっていませんでした」。 レオナルドの 同性愛的傾向を明示しようとする フロイトの試みと共鳴する,〈モナ・リザ〉が「男である」という無意識の発見。 まさしく,画家たちと〈モナ・リザ〉とのあいだに,「性」の危うさを軸とする新しい関係が生まれでた瞬間であった。 画面下に書き込まれた一見奇妙な題名の複製とだぶらせたものを, 九つに増幅する。 ウォーホルはシルクスクリーンに四つの白いモナ・リザを転写 (下図左)し、 アルマンは16枚の複製を並べて見せる。 「モナ・リザ」の分身には際限がない。 逆に,《モナ・リザ〉は解体される。 断片化し,身体の部分だけがイメージのなかを浮遊する。 顔だけをクローズアップして亀裂を入れた ロテッラ(下図左),唇だけを大きく描きだした ヴィグルー(下図右),あるいは重ね合わせた手だけにスポットを当てた デュヴァルやシュヴァリュの作品(下図)。 細部の膨張や切り取りは,意味の拡大や無化をもたらす。 とりわけ,《モナ・リザ》は性転換する。 姿を隠したり,灰と化したり,掃除道具だけを残したりする ジャン・マルガ 、 消却されたジョコンダ (下図左右)。 モナ・リザという女性像はもはや必要ない,というか残像としてのみあればよい。 さて最後に,《モナ・リザ〉を引用することが,ポストモダンの歴史意識と通底する作品を取り上げておこう。 》を合わせ鏡のようにして スーツケースに閉じ込めたパトリック・レイノーである(下図)。 このきわめてデュシャン的なオブジェは,映画を示唆するフイルムを擬した枠取りのなかで,西洋の視覚芸術史を2作品で要約するとともに,ポストモダンの美術状況をも総括しているのである。 と同時に,ここまでたどってきたように,作品を見るまなぎしの内実も大きく変化した。 言いかえれば,見る者によって時代によって,如何ようにでも相貌を変化させうる豊かなポテンシャルをもつ作品だからこそ,(モナ・リザ〉は傑作といえるのかも知れない。 かつてヴァルター・ベンヤミンは,画期的な論文「複製技術の時代における芸術作品」(1936年)のなかで.一回性よりも反復性が支配的になる現代の大衆社会からは,「 アウラ」(芸術作品の唯一性が帯びる聖性)が消滅すると喝破した。 しかし,事態の進行はそれほど単純ではない。 実作品と相対したときの視覚体験の鈍化は進んだが,作品のオリジナル信仰は強くなっているのではないか。 その意味では, ベンヤミンの予見にもかかわらず,決して「アウラ」は消滅しないのである。 神聖さではなく冒涜,敬意ではなく皮肉,技術の学びではなくイメージの戯れが,新たな創造行為と結びついたといってもよい。 それを冷静に判断するのは,またその結果がイメージの楽園なのか廃墟なのか,そのどちらでもない何物なのかを見定めるのは,もちろん私たち自身にほかならない。

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モナリザの謎のほほ笑みと隠された文字! それらが意味する真実とは!?

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【ローマAFP=時事】4日付のイタリア週刊誌セッテは、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチ(1452~1519)が描いたとみられる肖像画が新たに発見されたと報じた。 同誌は「最終的な確認を待たねばならないが、センセーショナルな大発見だ」と伝えている。 ルネサンス時代に芸術の庇護者として知られたイタリア北部マントバ侯妃のイザベラ・デステ(1474~1539)の横顔を描いたもので、スイスの銀行金庫から見つかった。 絵画収集で知られたイタリアの一族が保管していたという。 そのスケッチ画はパリのルーブル美術館に所蔵されているが、彩色したものは実際には存在しないか、描かれたものの、紛失したと思われていた。 肖像画は縦61センチ、横46.5センチ。 炭素年代測定法によって鑑定が進められた。 何層にも重ねられた絵の具の組成や厚みが明らかになったという。 「モナリザ」は、ダビンチが1503年に描いたとされる肖像画。 女性の肌の濃淡を表現するのに、変化がほとんど分からないようぼかした「スフマード」という先駆的な技法が使われている。 フランス美術館修復研究センターのチームは、蛍光X線分析装置を使ってモナリザの肌の層を分析した。 その結果、絵の具の層は1~2マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)から次第に厚く重ねられ、陰影の部分では30~40マイクロメートルに達することが分かった。 チームのメンバーはCNNとのインタビューで「研究の結果から、ダビンチが使った絵の具の成分なども推定できる」と述べた。 チームではダビンチによるモナリザ以外の作品や、ルネサンスの他の画家らの作品についても同様の分析を行い、ドイツの化学専門誌に結果を報告した。 ただ、同メンバーは「この研究で分かるのは使われた材料だけ。 モナリザをめぐる謎はまだ数多く残る」と話している。

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「モナ・リザ」の目の中に「LV」の文字が_中国網_日本語

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世界で最も有名な画家を一人挙げるなら、恐らく大半の人がまずあの人物を頭に思い浮かべることでしょう。 そう、「モナ・リザ」を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチですね。 2019~20年は、そんな歴史上最も偉大な画家であったレオナルド・ダ・ヴィンチが亡くなって500周年となる記念イヤーです。 現在、フランスやイギリスなどの欧米各国では、ダ・ヴィンチ展が相次いで開催中。 特に、2019年10月~2020年2月までルーヴル美術館で開催されている展覧会「Leonardo da Vinci」では、「モナ・リザ」や「岩窟の聖母」、「聖アンナと聖母子」などの有名作品をはじめ、史上最大規模となる22点もの作品が集結し、世界中から熱心なアートファンが殺到しているのです。 では日本の美術館では、どこかダ・ヴィンチ展はやっているの?と探してみると、残念ながら「ナマ」の作品をまとまって見られる展覧会は開催されていません。 なぜなら、作品が来ないからなんですよね。 ただでさえ普段からダ・ヴィンチの作品は世界中で展覧会のための争奪戦が繰り広げられているのに、特に需要が高まる記念イヤーとあっては、やっぱり本場ヨーロッパから大きく離れた日本ではなかなか作品を借りるのも難しいのでしょう。 しかし!! だからといってあきらめてはいけません! 実際の作品はなくても、アイデアで勝負するんだ!ということで、この記念イヤーに敢然とダ・ヴィンチ展開催に向けて立ち上がったのが、日本におけるダ・ヴィンチ研究の権威・池上英洋先生を擁する東京造形大学だったのです。 「ラ・ジョコンダ」(モナ・リザ)の前で熱弁を振るう池上英洋先生。 東京造形大学では、池上先生をプロジェクトリーダーとして、約1年かけダ・ヴィンチの絵画をヴァーチャル復元する作業に挑戦。 主役は大学生です。 各学科の教員の指導の下、学生主体で未着色作品に彩色を施したり、消失部分を復元するプロジェクトに挑みました。 その集大成となる発表の場が、今回の展覧会「ダ・ヴィンチ没後500年 夢の実現」展なのです。 レオナルドがかつて抱いた夢の一部を500年後の今、実現させよう!というスローガンの下、ヴァーチャル復元を経て蘇った数々のダ・ヴィンチの作品が展示された本展は、まさに見どころ満載でした。 早速、本展の注目点や、美しく復元されたレオナルドの代表的な絵画作品について、一挙に紹介してみたいと思います! なぜ「夢の実現展」に絶対行くべきなのか5つのオススメポイントを紹介! 注目点1:2019~20年にかけて日本で開催される唯一の本格的なダ・ヴィンチ展 展覧会ポスター 冒頭でも書きましたが、2019-20年は記念すべきレオナルド・ダ・ヴィンチの没後500周年であるにもかかわらず、日本で開催される本格的なダ・ヴィンチの絵画展は本展のみ!レオナルド好きなら必ずチェックしておきたいですよね。 特にここ数年、レオナルド・ダ・ヴィンチについての研究は著しく進展しており、世界中の研究者達によって次々と新事実、新発見が発表されているのです。 当然、本展はそうした最新情報を織り込んだ上での展示となっています。 行けば必ずレオナルドの新たな一面が発見できる内容になっています。 注目点2:単なる複製ではない、攻めた復元画 レオナルド・ダ・ヴィンチが活躍した盛期ルネサンスは、15世紀後半~16世紀前半。 日本で人気のあるモネやルノワールといった印象派よりも300年以上昔の画家なんです。 希少価値が非常に高いレオナルドの絵画作品は、今では最大限の配慮の下で保管・展示されてはいるものの、約500年経過した今、さすがにどの作品も色彩の退色やひび割れなどの劣化が目立ってきています。 たとえば、展覧会チラシにも使われた、「ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)」を見てみましょう。 「ラ・ジョコンダ」(モナ・リザ) 左:ヴァーチャル復元された状態/右:現状 学生達によるヴァーチャル復元画(左半分)、絵画の原状の姿(右半分)を組み合わせた合成画像です。 様々な研究や考証結果を踏まえて当初の姿を復元すると、今ある原状の作品の姿とはかなり違って見えることがわかっているんです。 そしてここが、本展がいわゆる普通の複製画展とは決定的に違う点なんですね。 通常の複製画展・復元画展では、陶板や特殊素材などを使用して、できるだけ「原状」に近い質感を表現しようとします。 しかし、本展では「レオナルドが作品を描いた当初、作品の本当の有り様はどんな見え方だったのか」ということに徹底的にこだわり抜いて制作された復元画が展示されているんです。 「聖ヒエロニムス」 左:ヴァーチャル復元された状態/右:現状(未着色のまま放置) また、芸術制作において誰よりも優れた才能が認められていた反面、レオナルドは完璧を求めすぎるあまり、遅筆で未完成のまま作品を放置する悪癖もありました。 彼が完成までこぎつけることができなかった絵画作品も数多く残っています。 たとえば、こちらの「聖ヒエロニムス」はそんなレオナルドの未完作品の代表格です。 本展では、ダ・ヴィンチが未完のまま放置した様々な下絵を、学生達が様々な資料・研究を元に「完成予想図」を復元。 最終的にはこんな感じになっていたのではないかという幻の作品群を現代に蘇らせました。 これが本展で施されたヴァーチャル復元のもう一つの見どころなんです。 注目点3:機械や建築の模型もレベル高し!再現CGは必見!! 本展の見どころは、ヴァーチャル復元された絵画作品だけではありません。 建物や機械もまた、残された資料群からできる限り正確に模型として復元されています。 レオナルドが生前構想したけれど、予算や技術的な制約によって実現できなかった建物、実際に実用化され革命的な成果を生み出した伝説の機械、奇想天外すぎる破天荒な軍事兵器などを模型で楽しんでみてください。 実際にいくつか紹介してみます。 「大墳墓計画」模型 レオナルド・ダ・ヴィンチに帰属される構想スケッチに基づく(部分) こちらはレオナルドが構想した大墳墓計画。 ピラミッドや秦の始皇帝陵、または日本の巨大古墳を思わせるような異彩を放つ建物です。 一説には紀元前にイタリアで栄えたエトルリア風の墳墓から着想されたという説もありますが、同時代にこうした大墳墓を建設したイタリア近辺の王侯貴族はいなかったため、謎すぎる建物です。 「マルチキャノンシップ」アトランティコ手稿より復元 こちらはアトランティコ手稿から起こされた、360度全方位に砲門を備えた無敵の「マルチキャノンシップ」。 実現すれば超強力な無敵の軍船となったのでしょうが、コストがまったく見合わなかったため実用化されることはありませんでした。 それにしても見た目の異様さはまるでUFOのようですね。 「距離計測車」アトランティコ手稿より こちらの「距離計測車」は、レオナルドがミラノ公国の軍事技師として実用化にこぎつけた機械の中で、歴史に残る先駆的な発明となった一例です。 一定距離を進むと小石が一つずつ箱に落ちる仕組みになっており、距離を正確に計測できました。 レオナルドは、これを使ってミラノの都市内部を正確に計測し、上空から俯瞰した地図を驚くべき正確さで残しています。 それにしても、こんなリヤカーみたいな単純な仕組みで偉業を成し遂げてしまうのだから凄いですね。 メディアワーキンググループによって制作されたCG画像(必見!!) また、建物や機械類が展示されているコーナーでエンドレス放映されているCGの解説映像は非常にハイレベルでした。 必見です。 背景の映像も含めて、リアルに再現された映像は迫力満点。 模型として展示されているこれらの建物や機械の内部や仕組みを直感的に理解できますよ。 注目点4:入場無料&全作品写真撮影OK! 本展では、高品質なヴァーチャル復元画や模型作品、CGなど解説動画も含めて、1点を除いて写真撮影がすべてOKなんです!これは嬉しいですよね。 また、本展は東京造形大学の学生達が主体となって運営する非営利・教育目的の展覧会なので、入場料が設定されていません。 展覧会のために準備されたコンテンツは、質・量ともに普通に1000円、1500円とお金を取れるレベルであるにもかかわらず、入場無料なのは嬉しいところです! 注目点5:プロのガイドが務める音声ガイドも無料! 本展は入場無料なのに音声ガイドまで無料で借りることができます。 上記写真のように、専用のタブレット端末が用意されており、受付で希望者に貸し出しされています。 実はこの音声ガイド、東京造形大学にゆかりのあるプロの俳優さんや声優さんがナビゲーターを担当してくれているんです。 無料であるにもかかわらず、凄いですよね。 ダ・ヴィンチの作品を初めて見る人でもわかりやすいように、徹底的に初心者向けに作り込んでくれていますので、ぜひ借りてみてくださいね。 本当の姿はこうなっていた!ダ・ヴィンチの代表作7作品をがっつり解説! 本展開催に先立って、東京造形大学ではレオナルドのすべての絵画作品をヴァーチャル復元する作業に取り組みました。 本展では、レオナルドが制作した全16点が、完全にヴァーチャル復元された状態で展示されています。 その結果、下絵段階で消されてしまっていたモチーフや、経年劣化でよく見えなくなっていた箇所がクリアに復元されました。 「最後の晩餐」や「モナ・リザ」といった、普段から見慣れているはずの超有名作品であっても、新鮮な気持ちで鑑賞することができるはず!そこで、本稿後半では、今回特に印象的だった7作品を取り上げ、僕が会場で見た「意外すぎる」復元画の見どころをガッツリ解説していきたいと思います! 「ラ・ジョコンダ」(モナ・リザ) 「ラ・ジョコンダ」(モナ・リザ)レオナルド・ダ・ヴィンチ ルーヴル美術館蔵 まず、こちらの「モナ・リザ」ですが、復元画を見て驚かされたのが、画面の明るさでした。 空は澄んだ水色に変わり、描かれている夫人もなんだか肌が凄くきれいになったようです。 バーチャル復元が施されると、なぜこれほど見え方に落差が発生するのでしょうか? 本来であればこれほど重要な絵画作品であれば、どこかの段階で大規模な修復が試みられても良かったはずですが、実は本作は意外なことに、現代に至るまで大規模な修復が施されていないのです。 人類の至宝ともいうべき世界で最も重要な絵画作品だから、簡単に修復に踏み切ることができないのかもしれませんね。 「ラ・ジョコンダ」(部分) また、顔のあたりに注目してみると、ヴァーチャル復元画でも、わずかに画面のひび割れが残されています。 これは、仮に修復が行われるにしても、完全にひび割れを直し切ることは難しいのではないか?という予測に基づいて、敢えて少しだけひび割れを残したのだそうです。 完全に消してしまうより、かえって味があるような気もしますよね?! 「ラ・ジョコンダ」(部分) こちらは女性の背後に描かれた風景部分にクローズアップしたもの。 原画ではくすんだ灰緑色に退色してしまっていますが、本来ここには高価なラピスラズリが使用されていたことがわかっています。 したがって、復元予想図は空や水の色が鮮やかなブルーや水色にならざるを得ないのだそうです。 「ラ・ジョコンダ」(部分) モナ・リザの絵の中で、僕が隠れた鑑賞ポイントだと思っているのが、この衣服の文様部分です。 胸元に描かれた複雑な文様は、柳をかたどったものだとされています。 レオナルドの姓であるダ・ヴィンチ(da Vinci)がラテン語(Vinchi)で「柳」という意味があるそうで、一説では彼がこの柳の文様を自分のアイデンティティを表すために、あるいは秘密の署名として絵の中に残したのではないか?という研究もあるようですね。 面白いです。 「聖ヒエロニムス」 「聖ヒエロニムス」レオナルド・ダ・ヴィンチ ヴァチカン絵画館蔵 本作は、未完の作品をヴァーチャル復元したもの。 聖ヒエロニムスという聖人が、修行中に自らを誘惑する妄想に打ち勝とうとして石で自分の胸を打つシーンがモチーフとして描かれています。 レオナルドは、本作を下絵のまま放置してフィレンツェからミラノへと旅立ってしまいます。 展示されている復元画は、下絵と各種資料群を参考に、学生達が頑張って最後まで仕上げた想定完成図。 下絵から受ける地味なイメージからは一転して、赤いローブや空の青など、鮮やかな色彩が目立ち存在感抜群です。 「聖ヒエロニムス」(部分) 聖ヒエロニムスの顔面をクローズアップしてみました。 どうですか、この精密に描かれたシワや張りツヤのない肌の質感。 頭頂部には髪もなく、歯も抜けた姿が描かれており、必要以上に美化されていないリアルな老人の姿が描かれていますよね。 もしレオナルドが最後まで完成することができていたら、稀代の名作として語り継がれる作品になっていたかもしれませんね。 「聖ヒエロニムス」(部分) また、こちらは、復元作業の中で画面右上に描き加えられた人気のない邸宅。 山間にポツンと佇む豪邸はなんとなく幽霊屋敷のような怖さもありますが、このモチーフのモデルは、当時フィレンツェにあった2つの邸宅を組み合わせたものとされています。 「最後の晩餐」 「最後の晩餐」レオナルド・ダ・ヴィンチ サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会修道院蔵 続いて、今回最も復元画として蘇った作品の中で、原画との落差が一番大きく感じられた作品です。 なんせ、原画は近年懸命な修復作業が施されたといえ、それでもかなりボロボロの状態。 確かに我々は本作を図像として見慣れてはいます。 しかし、描かれた十二人の弟子の名前までは把握してはいても、それ以外何がどのように描かれているのか正確な状態を把握できている方は案外少ないのではないでしょうか? 「最後の晩餐」(部分図) まずこちらを見てください。 イエスや弟子たちは一人ひとり肌の色も微妙に描き分けられています。 衣服の色も鮮やかですよね。 また、机の上にはパンとワインがはっきりと見て取れます。 面白いのは、ワインは気取ったワイングラスなどではなく、普通の平凡なコップに入っていたということ。 なんだかジュースみたいですね。 「最後の晩餐」(部分図) また、面白いのは、テーブルのところどころにパンとワイン以外に「魚」がごちそうとして供されているということ。 これは原画ではほとんど見えない部分であり、今回の復元画をじっくり見ていて気が付くことができました。 そういえば「魚」はしばしばイエス・キリストを表す隠れシンボルとして有名ですよね。 魚はギリシャ語で「イクトゥス」といい、この綴りがギリシャ語で「イエス、キリスト、神の、子、救世主」の頭文字を並べたものになることや、聖書でキリストが起こした数々の奇跡にも「魚」をテーマにしたものが数多く残っていますよね。 こうして、レオナルドもちゃんと最後のディナーに「魚」を置いたのですね。 池上先生によると、この魚はどうやら「ウナギ」なのではないか?ということです。 「最後の晩餐」(部分図) また、部屋の壁紙にも注目してみてください。 現代の北欧テイストに近いような、大胆な花柄のタピスリー(あるいはモザイク画?)が壁全体に貼り付けられていますよね。 原画から受ける殺風景な部屋の雰囲気とは違い、キリストと弟子たちが最後のディナーを楽しんだ宴会場は、意外とにぎやかな部屋だったのかもしれません。 音声ガイド画面(AR機能を活用した解説図) なお、本作を設計するにあたり、レオナルドは画面中央に釘を打ち、そこからヒモを引っ張って正確な遠近法に基づいた奥行きのある部屋を描こうとしました。 実際に現地の壁画では、イエスのこめかみ部分に釘を打った跡が残っているそうです。 本展では、音声ガイドを本作に向けてカメラボタンを押すと、AR機能が起動して、画面上に補助線が現れるような仕掛けも用意されています。 レオナルドが、きっちりと左右均衡した空間構成を計算して描いていたことがよくわかりますよ。 「スフォルツァ騎馬像」 「スフォルツァ騎馬像」縮小復元ブロンズ像 レオナルド・ダ・ヴィンチによる初期構想スケッチに基づく レオナルドが生きた盛期ルネサンス時代には、絵画や彫刻、建築など複数の分野において傑出した業績を残している芸術家が多数輩出されています。 レオナルドもまた、絵画、建築、彫刻、舞台芸術、音楽など様々な分野で多彩な才能を発揮しました。 この「スフォルツァ騎馬像」は、レオナルドがミラノ時代に構想した、彫刻分野での野心的なプロジェクトです。 当時彼が仕えていたミラノの統治者ロドヴィーゴ・スフォルツァの父フランチェスコ・スフォルツァを顕彰するため、レオナルドは今まで誰もやったことがない、2本脚で立つブロンズの騎馬像を史上最大規模のスケールで計画しました。 この時集められた青銅は実に70トン以上になると見られています。 残念ながら、本作は鋳造直前の段階になって敢えなく計画中止になってしまいます。 侵攻してきたフランス軍と戦うために、用意された青銅が大砲鋳造のために流用されてしまったからなのです。 本展では、レオナルドの計画していた野心的なブロンズ像をなんとか再現しようと計画。 そこでできあがったのが、こちらの(ほぼ)2本脚で自立する騎馬像なのです。 池上先生によるとこのサイズを超えてしまうと、自立させるのは難しいかもしれないとのことです。 まさにギリギリまで攻めた仕様になっているのですね。 下調べは牧場で馬を見学するところから!見た目以上に大変だった制作作業 なお、本作の制作風景を集めたのがこちらの画像。 出来上がる前に様々な下調べや試行錯誤を重ねていることがよくわかりますね。 「糸巻きの聖母」(ランズダウン版) 「糸巻きの聖母」(ランズダウン版)レオナルド・ダ・ヴィンチと工房 個人蔵/大胆に変更された背景に注目。 「糸巻きの聖母」(シンシナティ版)に一番近いものになっています。 この「糸巻きの聖母」は、レオナルドが絵画制作の大半を弟子に任せるようになったキャリア後期に描かれた作品で、模写や複製を含め数十点のバリエーションが知られています。 中でもレオナルドの作風の特徴を最も捉えていると言われているのが、2016年に来日した作品とは異なるもうひとつの秀作「糸巻きの聖母」(ランズダウン版)です。 本展では、このランズダウン版の原状を元に、大胆なヴァーチャル復元を実施。 現在残されている数点の派生作品や、赤外線写真による下絵段階の構図をベースに、当初のレオナルドの構想を蘇らせました。 ランズダウン版の原状から背景が大胆に変更されるなど、復元にあたっての大幅な修正点は、本展のハイライトの一つと言えるのではないかと思います。 「糸巻きの聖母」(ランズダウン版)(部分) 特に注目したいのが、聖母の上半身のすぐ左側に描き直された三人の人物と赤ちゃん。 荒涼としたな背景が広がる原状のランズダウン版、バクルー版に比べると親しみやすい雰囲気になっていますね。 「糸巻きの聖母」(ランズダウン版)(部分) また、幼子イエスの傍らには、糸巻きを山盛りにした籠も追加されました。 これまでは、どのバージョンでもイエスが十字架みたいなものを持っているだけのように見えて、籠の中はからっぽに見えました。 「えっ、糸巻きってどこにあるの?」という感じでしたが、この籠が描き加えられたことによって、タイトル通りの主題になりました。 「洗礼者ヨハネ」 「洗礼者ヨハネ」レオナルド・ダ・ヴィンチ ルーヴル美術館蔵 本作は、「ラ・ジョコンダ」(モナ・リザ)、「聖アンナと聖母子」とともに、レオナルドが亡くなるまで手元に大切に保管していた3作品のうちの一つです。 非常に有名な作品ですよね。 洗礼者ヨハネは、キリストの十二使徒であったヨハネとは別人物。 彼は、救世主としてのキリストの降臨を告げる預言者として、キリスト教では非常に重要な聖人として扱われています。 人差し指で天を指差す非常に特徴的なポーズは、キリストの降誕を予告しているとされています。 「洗礼者ヨハネ」(部分) 本作での見どころは、人差し指の先にハッキリと見えるようになった十字架です。 原状ではこの指先のあたりにほんのかすかに見える程度だった十字架が、ヴァーチャル復元ではかなりクリアになりました。 そういえば顔色もなんとなく明るくなっていますよね。 そこで気になるのが、ヨハネの描かれ方。 前々から思っていたのですが、本作で描かれるヨハネの柔らかい表情を見ていると、なんだか中性的な感じがしてきますよね。 本展では、それはなぜなのか?ということもしっかり掘り下げて解説してくれています。 「肉をまとった天使」レオナルド・ダ・ヴィンチか、その工房 個人蔵(ロサンゼルス、ベドレッティ財団に委託) 上記は、「洗礼者ヨハネ」を制作するための下絵と目されている素描作品ですが、ちょっと刺激的な図像ですよね。 そう、レオナルドは本作でのヨハネ像を男性器・女性器を備えた両性具有者として描こうとしていたのです。 解説によると、彼が当時傾倒していた錬金術や、ルネサンス美術に大きな影響を与えたネオ・プラトニズム(新プラトン主義)の思想が背景にあったとされています。 大勢の人物たちがギッシリと描きこまれた本作には全く既視感がなく、「レオナルドにこんな作品あったっけ??」と、見慣れない絵を前にしばらく考え込んでしまいましたが、原画を見て納得。 「東方三博士(マギ)の礼拝」レオナルド・ダ・ヴィンチ ウフィツィ美術館蔵(Wikipediaより引用) 本作は、フィレンツェ時代にレオナルドがサン・ドナート・ア・スコペート修道院から注文を受けたにも関わらず、レオナルドが下絵段階で放置してそのままになっていた未完作品「東方三博士(マギ)の礼拝」をバーチャル復元した作品だったのでした。 キリスト降誕を祝うため、東方から3人の賢者がお祝いにやってくるという、過去幾人ものオールドマスターが手掛けてきた超メジャーな主題なのですが、本作は本当に見ていて面白いんです! 何が面白いかって、レオナルドの人体表現に対する引き出しの多彩さが凄いんですね。 人物たちの多彩な表情やポーズが本当に味わい深いのです。 ちょっとみてみましょう。 「東方三博士(マギ)の礼拝」(部分) 背景の廃墟のような建造物に登って、謎の作業に取り組む男たち。 キリスト降誕を祝福する重要なシーンなのに、前景で起こっているイベントには全く関心がなさそうなところも面白いです。 「東方三博士(マギ)の礼拝」(部分) 謎すぎるポーズを取る画面中央の女性。 何から身をかわそうとしているのでしょうか? 「東方三博士(マギ)の礼拝」(部分) 映画「スター・ウォーズ9」のカイロ・レンに似たような人物も見つけました!安らかにフォースに身を委ねているようです(笑) 「東方三博士(マギ)の礼拝」(部分) さらに謎すぎる動物が画面に!当時、ヨーロッパには存在しなかったはずのゾウまでが描かれています。 しかも、そこそこ正確な姿かたちで描かれているあたりは、さすがレオナルドなのであります。 東方三博士とともに、はるか東方からイエスを祝福しにきたのでしょうか?目立たない画面の隅っこに描かれているので、ぜひ頑張って見つけてみてください! まとめ:日進月歩で進むレオナルド・ダ・ヴィンチ研究の最新成果を見届けよう! いかがでしたでしょうか?レオナルド・ダ・ヴィンチの全絵画作品16点や幻の作品群などを、近年の新発見・研究成果を踏まえて大胆にヴァーチャル復元で蘇らせた本展では、本当に多くの発見が待っているはずです。 東京まで足を伸ばせなくても、今後各地域での巡回展で見られるチャンスがあるかもしれません!.

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