東芝 量子 コンピュータ。 「世界最速・最大規模」──東芝、量子コンピュータより高速に組み合わせ最適化問題を計算するアルゴリズムを開発

東芝シミュレーテッド分岐マシン(SBM)|東芝デジタルソリューションズ

東芝 量子 コンピュータ

「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」の特徴 東芝は、自社が持つ量子計算の理論から、古典力学の「分岐現象」「断熱過程」「エルゴード過程」という3つの現象に着目。 これらをうまく利用し、古典コンピュータ上で組み合わせ最適化問題を解くアルゴリズムを「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」(Simulated Bifurcation, SB)と名付けた。 また、FPGA(あるアルゴリズムの計算に特化した集積回路)を用い、2000変数・全結合の問題をSBで解いたところ、良解を0. 5ミリ秒で得られたという。 同問題を世界最速(2016年時点)で解けるとされていた「コヒーレント・イジングマシン」は良解の導出に5ミリ秒かかることから、「10倍高速に問題を解ける」としている。 コヒーレント・イジングマシンより高速で、大規模な問題へも適用できることから、同社はSBを用いた組み合わせ最適化問題の計算について「世界最速・最大規模」をうたう。 組み合わせ最適化問題の高速計算は、効率的な配送ルートの探索(巡回セールスマン問題)や新薬開発の分子構造決定、金融ポートフォリオの組み合わせ決定に有用とされる。 同社は、「本技術をキー技術として、現代社会におけるあらゆる最適化ニーズに応えるサービスプラットフォームを実現し、19年中の事業化を目指す」としている。 SBの詳細は、米オンライン論文誌「Science Advances」に4月19日付で掲載された。 【訂正:2019年4月23日午後1時 当初、山本喜久さんの国立情報学研究所での称号を「教授」としていましたが、正しくは「名誉教授」でした。 おわびして訂正いたします。 】 組み合わせ最適化問題と量子コンピュータ 組み合わせ最適化問題は、カナダの量子コンピュータベンチャーD-Waveが開発したマシンに実装されている「量子アニーリング」や、量子アニーリングの計算過程を古典コンピュータ上で模した「シミュレーテッド・アニーリング」などが計算に適しているとされる。 量子アニーリングとは、加熱して徐々に冷却すると物体内部の抵抗力を除去できる「焼きなまし」という自然現象を利用した計算方法。 金属原子のように量子ビットを格子状に配列し、互いに結合させ、ビット同士の相互作用を定めた「イジング模型」を用い、最も安定する状態(基底状態)を探す。 基底状態でのビットの状態が、問題の最適解に対応する。 量子アニーリングの場合、理論的には量子トンネル効果により基底状態を得られるが、量子ビット同士の結合が物理的な制限を受けるため、大規模化に課題がある。 一方シミュレーテッド・アニーリングは量子アニーリングのようなハードウェアの制限はない代わり、量子ビットを利用しないため、必ず基底状態を得られるとは限らない。 東芝によれば、さらに「並列化による高速化が原理的に困難」だという。

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シリコン量子ドット構造で高精度量子ビット実現

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「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」の特徴 東芝は、自社が持つ量子計算の理論から、古典力学の「分岐現象」「断熱過程」「エルゴード過程」という3つの現象に着目。 これらをうまく利用し、古典コンピュータ上で組み合わせ最適化問題を解くアルゴリズムを「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」(Simulated Bifurcation, SB)と名付けた。 また、FPGA(あるアルゴリズムの計算に特化した集積回路)を用い、2000変数・全結合の問題をSBで解いたところ、良解を0. 5ミリ秒で得られたという。 同問題を世界最速(2016年時点)で解けるとされていた「コヒーレント・イジングマシン」は良解の導出に5ミリ秒かかることから、「10倍高速に問題を解ける」としている。 コヒーレント・イジングマシンより高速で、大規模な問題へも適用できることから、同社はSBを用いた組み合わせ最適化問題の計算について「世界最速・最大規模」をうたう。 組み合わせ最適化問題の高速計算は、効率的な配送ルートの探索(巡回セールスマン問題)や新薬開発の分子構造決定、金融ポートフォリオの組み合わせ決定に有用とされる。 同社は、「本技術をキー技術として、現代社会におけるあらゆる最適化ニーズに応えるサービスプラットフォームを実現し、19年中の事業化を目指す」としている。 SBの詳細は、米オンライン論文誌「Science Advances」に4月19日付で掲載された。 【訂正:2019年4月23日午後1時 当初、山本喜久さんの国立情報学研究所での称号を「教授」としていましたが、正しくは「名誉教授」でした。 おわびして訂正いたします。 】 組み合わせ最適化問題と量子コンピュータ 組み合わせ最適化問題は、カナダの量子コンピュータベンチャーD-Waveが開発したマシンに実装されている「量子アニーリング」や、量子アニーリングの計算過程を古典コンピュータ上で模した「シミュレーテッド・アニーリング」などが計算に適しているとされる。 量子アニーリングとは、加熱して徐々に冷却すると物体内部の抵抗力を除去できる「焼きなまし」という自然現象を利用した計算方法。 金属原子のように量子ビットを格子状に配列し、互いに結合させ、ビット同士の相互作用を定めた「イジング模型」を用い、最も安定する状態(基底状態)を探す。 基底状態でのビットの状態が、問題の最適解に対応する。 量子アニーリングの場合、理論的には量子トンネル効果により基底状態を得られるが、量子ビット同士の結合が物理的な制限を受けるため、大規模化に課題がある。 一方シミュレーテッド・アニーリングは量子アニーリングのようなハードウェアの制限はない代わり、量子ビットを利用しないため、必ず基底状態を得られるとは限らない。 東芝によれば、さらに「並列化による高速化が原理的に困難」だという。

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東芝シミュレーテッド分岐マシン(SBM)|東芝デジタルソリューションズ

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<目次>• 量子アニーリングコンピューターとユーザーを隔てる「ギャップ」 いくつかの企業で、実際の運用が始まっている「量子アニーリングコンピューター」だが、導入すれば、誰でも使えるものなのだろうか。 早稲田大学理工学術院の戸川 望教授は「現状、物理学を使って問題を解く量子アニーリングマシンを使うには、情報科学(IT)の言葉で書かれた問題を、物理の言葉で書き直す必要があり、一般ユーザーが使うには『ギャップ』がある」と語る。 量子アニーリングは「イジングモデル(量子アニーリングをつかうための物理学のモデル)」と0と1の重ね合わせ状態を取れる「量子ビット(量子コンピューターの情報単位)」を利用して問題を解くである。 イジングモデルの形を模して量子ビットを並べたプロセッサで、量子力学を働かせて問題を解く方式とも言える。 つまり、量子アニーリングコンピューターで解きたい問題があるときは、その問題を「イジングモデル」の形で書き直す必要があるのだ。 従来のコンピューターに習熟した人は情報科学には慣れているが、物理学、しかも量子力学となると、どのようなものか見当も付かないという人が多いだろう。 戸川教授が指摘する量子アニーリングマシンとユーザーを隔てる「ギャップ」とは、「問題をイジングモデルの形で表現するための、物理学の知識」である。 ギャップを埋める「共通ソフトウェア基盤」を構築へ (出典:早稲田大学 報道発表) この共通ソフトウェア基盤では主に2つのことを目指しているという。 1つ目は、現実の問題を表現するに当たって理想的なイジングモデルを構築すること。 2つ目は、理想的なイジングモデルを、量子アニーリングマシンが実際に採用しているイジングモデルを変換するソフトウェアを開発することだ。 加えて、ハードウェアのイジングモデルから、「理想的なイジングモデル」に変換するソフトウェアも開発することで、処理結果を人間が簡単に読み取れるようにすることも狙っている。 こうして、現実に存在する問題と、量子アニーリングコンピューターのハードウェアに間にある大きなギャップを埋めようということだ。 さらに、共通ソフトウェア基盤の構築と並行して、各種量子アニーリングマシンで、実際にどのような問題を解けるのか、つまり量子アニーリングコンピューターの有効な用途を探索する活動も続けているという。 そのために、量子アニーリングコンピューターを先行導入して評価を続けている企業と、各種量子アニーリングコンピューターのメーカーの間を橋渡しして、さまざまな問題を、各社の量子アニーリングコンピューターで解けるように支援するとしている。

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